fastifyの reply.header(key, value)
は header に書き込まれるべき key-value を呼び出されたタイミングで HTTP Response に書き込むのではなく, res.send
のタイミングで書き込んでいます.
Stream を配信する際, reply.raw.write
を呼び出してしまっていると Header は暗黙的に flush されてしまっており書き込めなくなってしまいます.
workaroundとしては, reply.raw.write
の前に reply.raw.setHeader
を呼び出し header の書き込みを fastify に任せるのではなく自分で担ってしまいこれを回避するのが良さそう.
小ネタです.
fastify を利用して stream を配信し, reply.raw/write
で body の書き込みをしてしまうと, reply.header()
で set した Header が反映されていないというエッジケースを踏んでいました.
具体的な事例を挙げる(ここは飛ばしてもいいです)と, ReactDOM/server の renderToNodeStream を利用して stream を配信することで読み込み速度の向上を図っていました.
しかしその場合生成されるマークアップには <!DOCTYPE html>
が含まれていません.
DOCTYPE
を指定することで, ブラウザがクオークモードで動作することを防ぐことができます. [1]
できることならばこの DOCTYPE
も含めて配信したいですが, renderToNodeStream から返ってくる Readable Stream にこの String 値を書き込むのは当然厳しいため, workaraund的に node/http の response.write で DOCTYPE を書き込んでいました.
fastify だと Reply.raw
で node の http.ServerResponse
にアクセスし直接 header や body を書き込むことができます. [2]
一方 ETag や Cache-Control を書き込むために Reply.headers()
を利用しますが, これで書き込んだはずの header field が反映されていないということが起きました.
エッジケース of エッジケースという感じがしますね.
再現レポは https://github.com/Shinyaigeek/test-fasity-header/blob/master/main.js ここで可能です, /stream_prefix
にアクセスすると res.header()
で set したはずの Content-Type: text/html
が set されておらず text/plain として表示されることがわかります. これは直感に反しますね.
/stream_prefix_raw
にアクセスすると, しっかり text/html として表示されることがわかります.
これと /stream_prefix
との違いは Header の set を fastify に任せているか node/http
にアクセスして自分でやってるかだけです.
fastify が Response Header を書き込むタイミングが reply.header()
が呼ばれたタイミングではなく, reply.send(body)
が呼ばれ body が配信される直前であることに起因しています.
https://github.com/fastify/fastify/blob/master/lib/reply.js#L222 (2021/3/21時点)
Reply.prototype.header = function (key, value) {
const _key = key.toLowerCase()
// default the value to ''
value = value === undefined ? '' : value
if (this[kReplyHeaders][_key] && _key === 'set-cookie') {
// https://tools.ietf.org/html/rfc7230#section-3.2.2
if (typeof this[kReplyHeaders][_key] === 'string') {
this[kReplyHeaders][_key] = [this[kReplyHeaders][_key]]
}
if (Array.isArray(value)) {
Array.prototype.push.apply(this[kReplyHeaders][_key], value)
} else {
this[kReplyHeaders][_key].push(value)
}
} else {
this[kReplyHeaders][_key] = value
}
return this
}
fastify の reply.header
の処理を見ると, これが呼ばれたタイミングで http/ServerResponse
に書き込んでいるのではなく, this[kReplyHeaders]
に格納しているということがわかります.
ではどのタイミングで http/ServerResponse
に書き込んでいるかというと, reply.send
が呼ばれると onSendHook
という関数が呼ばれます. その中でユーザー定義の hook 関数があればそれを呼び出した後, なければ直ちに onSendEnd
という関数を呼びます.
その中で header や body の書き込みが行われます.
https://github.com/fastify/fastify/blob/master/lib/reply.js#L391 (見やすいように一部割愛しています)
function onSendEnd (reply, payload) {
const res = reply.raw
const req = reply.request
const statusCode = res.statusCode
if (typeof payload.pipe === 'function') {
sendStream(payload, res, reply)
return
}
reply[kReplySent] = true
res.writeHead(statusCode, reply[kReplyHeaders])
res.end(payload, null, null)
}
payload が stream であるときはそれを sendStream
に引き渡し, そうでないときは reply.header()
で書き込んだ kreplyHeaders
を元に Header を書き込んでから payload を配信していることがわかります.
stream でないときは Header が書き込まれるのは reply.header()
が呼ばれたタイミングではなく payload が配信される直前であることがわかりました.
では sendStream
の処理ものぞいてみましょう.
https://github.com/fastify/fastify/blob/master/lib/reply.js#L444 (見やすいように一部割愛しています)
function sendStream (payload, res, reply) {
if (!res.headersSent) {
for (const key in reply[kReplyHeaders]) {
res.setHeader(key, reply[kReplyHeaders][key])
}
}
payload.pipe(res)
}
res.headersSent
が false であれば Headerを書き込んでから, そうでなければ直ちに stream である payload に http/ServerResponse
を pipe することで stream を配信しています.
ここまで書けば大体の人がお気づきかと思いますが, 冒頭の
fastify を利用して stream を配信し,
reply.raw/write
で body の書き込みをしてしまうと,reply.header()
で set した Header が反映されていないというエッジケースを踏んでいました.
の問題は res.headersSent
が true なため生じていました.
なぜそうなるかというと, reply.raw
から http/ServerResponse
にアクセスし, reply.raw.write
を呼び出して body を書き込んでしまうと Header は暗黙的に flush されてしまい書き込めなくなってしまいます, Header -> Body であることを考えるとある種当たり前のことですね. [3]
fastify にPRを出すという形での根本的な解決を図るアプローチは思いつかず, workaround 的に reply.send
, reply.raw.write
を呼び出す前に reply.raw.setHeader
から Header を書き込んでしまうというので解決できました.
ただこの方法だとheaderをfastifyが内部的にキャッシュしてくれなくなるのがちょっと辛い...
(ちょっと辛いからなんとかしたい...)
app.get("/", (req, res) => {
const stream = getMarkupStream();
// res.header("hoge", "asdf")
res.raw.setHeader("hoge", "asdf");
res.raw.write("<!DOCTYPE html>");
res.send(stream);
})
マサカリ待ってます :pray:
\[1] Page lacks the HTML doctype, thus triggering quirks mode (https://web.dev/doctype/) 閲覧日: 2020/3/21
\[2] Fastify Docs Reply .raw (https://www.fastify.io/docs/latest/Reply/#raw) 閲覧日: 2020/3/21
\[3] node http ServerResponse write (https://nodejs.org/api/http.html#http_response_write_chunk_encoding_callback) 閲覧日: 2020/3/21